教室で(全1ページ/友達以上恋人未満/高校生/男の子視点)


「そういえば、さっきに電話なんだったんだ?」
「ああ……」
 弁当を食べているときに隣の奴に聞かれた。
 皆こちらに顔を向ける。
 ……そんなに気になる内容か?
「あいつから、今日俺の誕生日だって言われた」
 実際は直接そういわれたわけじゃないけど、そんなもんだ。
「ってことは、おまえ、自分の誕生日忘れてたのか?」
「……まあ、そういうことになるな」
 皆、一斉にあきれ始める。
 なんか俺、駄目な奴みたいじゃん。
 それから口々におめでとうと言われた。
「ありがとな」
 俺がお決まりの言葉を返して、この話題は終わった。
 と思ったら、
 あ! と一人が興味津々な感じでこちらを見てきた。
「ちなみにその子の誕生日は?」
「×月××日だけど?」
 そう即答すると、隣の奴はなぜかため息をついた。
 他の奴らは、やっぱり、みたいな顔をしていた。
「なんでその子のは覚えてんのに、自分のは覚えてねえんだよ……」
 よくわからないが、一番仲のいいはずの隣の奴が、一番あきれた視線を送ってくる……。
「あいつ、自分からいわねーから、覚えとかなきゃ祝えねーじゃん」


*


 とあいつはさも当然そうに答えた。
「おまえら、さっさとくっつけ……」
 隣にいた友人の言葉は誰に聞かれるでもなく、空へと消えていった。


終|下駄箱に壁越しに|教室で|中庭でhome